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HinotoYasuakiraの感じたままに

真の主権国家たれ。真の平和国家たれ。真の平等国家たれ。真の自給国家たれ。

皇太子の暗号《前篇》

【 皇太子の暗号 】《前篇》

きわめて婉曲な表現の中に込められた厳しい非難「日本の戦時の事績に正しい認識を」
侵略と戦争犯罪に関する証拠のすべてを正確に認識すべきであり、都合の悪いものについては無視するというような行為は許されない

ジェフ・キングストン / アメリカCNNニュース 2月27日

皇太子CNN
日本の皇太子は55歳を迎えられた誕生日、今日本の第二次世界大戦(太平洋戦争)中の事績について甲論乙駁する中に加わりました。

2月23日に行われた記者会見で、皇太子は次のように述べられました。
「戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切です。」

皇太子のご発言の内容は一見、誰をも何をも批判しているようには受け取れません。
しかし日本の皇室関係者が常用される婉曲的かつ抽象的表現の解釈に基づけば、皇太子のご発言は安倍首相とその与党が進めている日本の歴史事実を書き換えてしまおうとする動をけん制する狙いがあったと考えられます。

◇ 壊されてしまった外交的無風状態

憲法上の制約により、日本の皇室関係者が政治的発言をすることはまずありません。
現在の天皇である明仁天皇は、これまでしばしば一線とされるぎりぎりまでのご発言をされてきました。
明仁天皇は、日本国内の右翼が天皇陛下の名を勝手に利用し、自分たちの主義主張を押し通そうとする場面で、こうしたご発言をされてきました。

憲法第9条01
明仁天皇は今年1月初旬、日本の戦争責任に関する見解は従来通りのものでありこれまでの立場に変更は無いという意味のご発言をされましたが、皇太子のご発言はその主旨を改めて知らしめる目的があったものと見られます。

皇太子のご発言は、今年8月に安倍首相が発表する予定の第二次世界大戦(太平洋戦争)後70周年の政府声明の中身について、何が除かれ何が加えられるのか、その事が注目される中で、ひとつの見解を示されたものと考えることができます。

皇太子が厳しい制約がある中、第二次世界大戦(太平洋戦争)中の日本の事績について、謙虚に向かい合い、正確な事実を伝えることに敢えて言及したことについて、安倍首相に対しもっと慎重な姿勢を取るように求めたメッセージが込められているという事を日本国民の多くが理解しています。

皇太子が具体的に口に出来ない事を明らかにするのは、私たち専門家の務めです。
『謙虚に』この言葉は不名誉な過去の事歴を称賛するがごとき行為は慎むべきであるという意味です。
「正しく」と言う言葉の意味は、日本の侵略と戦争犯罪に関する証拠のすべてを正確に認識すべきであり、都合の悪いものについては無視するというような行為は許されないという意味です。

大東亜共栄圏02
◇ 過去の検証

将来の世代については皇太子の見解では、日本国名では大きな政治的影響力を持つ守旧派、すなわち戦前の国体を復活させようと目論む人々が歴史を書き換え、史実を曲げてまで胸を張ろうとする行為に迎合する事無く、うまく行ったことも行かなかったことも公平な目で評価すべきなのです。

日本の歴史に対し安倍首相がこれまで一方的な主張を繰り返してきた実績とは対照的に、今回の皇太子のご発言は日本の歴史認識について姿勢を正すことの大切さを改めて思い出させるとともに、皇太子がそのために必要なら重要な役割を担う覚悟が出来ていること、そして明仁天皇の徹底して平和を希求する姿勢を引き継ぐ意思を持っていることを明らかにしたものと言えます。

近年では厚顔な上に傲岸な保守派の人間たちは、次期天皇としての資質を疑うような発言すらあからさまに行うようになっており、今回の皇太子のご発言はこうした攻撃に対する当意即妙の反撃であったかもしれません。

日本の皇族の人々の発言を解釈することにまつわる問題は、宮内庁などの官僚が皇族の発言内容をあらかじめ綿密にチェックする点にあります。
そして後でもっともらしい否定的意見が通りやすくなるように、言い回しをわざと曖昧にしてしまうのです。

広島04
しかし極端なまでの象徴性を求められている皇族が第二次世界大戦(太平洋戦争)当時の日本に対する安倍首相の歴史認識に対し、2カ月の間に続けて不快感を明らかにしたことは、いくら官僚たちがその真意を覆い隠そうとしても隠しきれるものではありません。

この先例のない2度に渡る非難は、たまたまそうなった訳ではありません。
皮肉なことですが、安倍首相はしばしば自分自身の祖父である岸信介を自慢気に引き合いに出しますが、皇太子の祖父である昭和天皇、そして父である明仁天皇もともにその軍事的侵略行動を遠回しに非難していました。

岸信介は1941年から45年まで大日本帝国の軍需を担当する大臣を務め、満州国内での強制性労働にも関わったとする記録があるなど、戦争遂行の上で突出した役割を演じました。
その事歴についてはなぜか国内では告発はおろか、審理されたこともありませんが、A級戦犯被疑者として収監された事実は、安倍首相にとっては明らかに耳触りなものなのです。

※ジェフ・キングストン
テンプル大学(東京)アジア研究所所長、著書に『1945年以降のアジアのナショナリズム』など

〈 後篇に続く 〉
http://edition.cnn.com/2015/02/26/opinion/japan-crown-prince-ww2-comments/index.html
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ここまで思い切った論評は、今や国内メディアでは不可能かもしれません。
従来ですと後篇をすぐ翌日に掲載しますが、今回は敢えて1日置いて後篇を掲載させていただきます。

一度書きましたが、近代日本の歴代の天皇が好戦的であったという証拠はありません。
孝明天皇は些細なこじつけで「天誅」と称し、暗殺を繰り返していた長州系過激志士を嫌い抜いておられた。
明治天皇日清戦争日露戦争、出来れば戦争ではなく交渉によって解決できないのか、ということを繰り返し問われた。
昭和天皇盧溝橋事件に激怒し、これ以上戦線を拡大させないよう厳命されたにもかかわらず、当時の首相東条英機らが握りつぶしてしまった。(エドウィン・ライシャワー『日本の歴史』講談社文庫)
そして今上天皇と皇太子。
これらの方々は「民のかまどに煙がたっているかどうか」(国民が衣食足りておだやかに暮らしているかどうか)を常に気にかけられておられても、「戦争できない国など国家ではない」などとは決してお考えではないと思います。

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【 世界の平和を願って 】ジョン・ウィリアムズ作曲
Song for World Peace by John Williams

いつもですと写真集を掲載するのですが、きわめて厳しい制約がある中で、懸命に平和の尊さを訴えておられる皇太子の胸中を考えると、なにやら話を逸らしてしまうようで申し訳なく感じます。
そこで思いついたのが、現存する中で私が最もヒューマニスティックな作曲家だと感じるジョン・ウィリアムズ氏の『Song for World Peace 』のミュージック・クリップを掲載することでした。
同氏はスターウォーズやスーパーマンインディ・ジョーンズのテーマ曲などで有名ですが、一方でETやシンドラーのリストなどの作品ではヒューマンな姿勢を強く感じさせる作曲家でもあります。
小品ながらクラシック分野の佳作も多く、この曲なども世界の平和への氏の誠実な祈りを感じます。